森の王様1

森の王様


深い森の王様が ちいさなねずみに言いました

この森の中の 一番大きなモノをもってこいと



この森で 一番ちいさなねずみは

小さな頭を悩ませました



でも・・・



こんなちいさな身体では 

どれほどのものも運べない



深い森の大木に 腰掛けた王様は言いました

何をぐずぐずしておるか

持ってこぬならその命 

とっとと とってしまうぞよ



それでもねずみは悩みました

それでも何一つ浮かびません



見かねた森の椎の木が 

ぽつんと雫を その瞳へ・・・



森がサワサワと揺れました

隠れていた虫達が そぉっと前へ

しっぽだけの野うさぎも お耳を前へ



みんながねずみを見つめました

ダイジョウブダヨ

みんながついているから・・・って



ねずみは握りこぶしをつくると

王様の前へ行きました



「王様

 これがこの森で一番大きなものです。」



そういうと 握りこぶしを

王様の前へと突き出します



それは何かと問う王様に

ねずみはそっと手を開いて



この森を愛する

すべてのモノたちの心です

と言いました



すると

にっこり微笑んだ王様は

小さな葉の雫になり



「これでわしがいなくとも

 この森は安泰じゃのぉ」と・・・



死期を悟った森の王様は 

最後の望みを森を愛すものたちに託したかったのです



そして 森のものすべての

やさしい心を知って 森に潜む露となっていったのです



今もまだ この森の奥深く

人間の目に触れぬあたり

森の精霊達と森に棲むものたちの会話が

延々と続いているのだとか・・・



そおっと そっと

耳を澄ませてごらんなさい






2005.11. 8

                  tozyeekiki






「金の星」 Shinjyou's Music Room

art : ふわふわ。り























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