nannotameni

な ん の た め に。




風をわたる 木々のざわめきにも似た
夜明けの 赤い雲たち
なにひとつ 見つけられずに 夜の海を渡ってきた
しょぼしょぼ目のカササギたち

何が欲しくて 何を想い 何のために生まれてくる
紅いてのひら

君の声に僕たちはふりむかず
一歩前の世界に飛び込んだ気でいる
だけど
本当は僕ら 遠い とおい 昔に まだ立ち止まっていただけなんだろう

君の声は 生まれてくる者たちの最初の警笛
タカク高く どこまでも澄んで
すべてのものが 同じ音を出す

僕らは知らなくてはいけない
何もナクスモノガなくても ナクシテハいけない
何もホシイモノがないなら 手を差し出してはいけない
何もかもが欲しくなったら 一度空を見上げて 一番 最後に浮かんだものを
僕らの一番大事なものと 交換することを考えなくてはならない

そして 知らなくてはいけない
僕たちも 君と同じ音を出していたことを

ざわめく風たちが まきあげて行ったもの
荒れた草地に残されたもの

渡る風に 追い越されるまいと
いためた翼を 羽ばたかせる僕ら
赤い空の 向こうは なに・・・



                                         H15.11.23